DCモータの励磁モードは、その磁界源と動作特性を直接的に決定します。異なる励磁モードの分類とそれぞれの性能特性を明確にすることは、モータがさまざまな動作条件にどのように適応するかを理解する上で不可欠であり、実際のアプリケーションにおける選定の重要な根拠となります。
DCモータの励磁モードは、主に界磁巻線と電機子巻線の接続関係に基づいて分類されます。一般的なタイプには、他励磁、並列励磁、直列励磁、複励磁があり、各タイプ間で性能特性に大きな違いがあります。
まず、他励式DCモータです。その界磁巻線は電機子巻線から完全に独立しています。界磁電流は外部の独立したDC電源から供給され、電機子電圧や電機子電流とは無関係です。性能特性上、他励式モータの主磁束は安定しており、電機子電流の変化の影響を受けません。そのため、速度安定性が高く、負荷が変動しても速度変化が小さくなります。同時に、界磁電流を独立して調整することで弱め界磁の速度上昇を実現したり、電機子電圧を調整することで定格速度以下の滑らかな速度制御を実現したりできるため、速度制御範囲が広く、高精度です。ただし、このタイプのモータは追加の独立した励磁電源を必要とするため、設備コストが比較的高くなります。精密工作機械のスピンドルやDCタコジェネレータの駆動など、速度安定性と速度制御精度が厳しい用途に適しています。
二つ目は、分巻線励磁方式の直流モータです。界磁巻線は、同一の直流電源を介して電機子巻線と並列に接続されます。界磁電流は電源電圧によって決定され、電機子電流とは無関係です。その性能は他励モータに類似しており、主磁束は比較的安定しており、速度は負荷の影響を受けにくく、動作特性も安定しています。また、独立した励磁電源を必要としないため、設備構造は他励モータよりもシンプルでコストも低くなります。ただし、分巻線が突然断線すると、主磁束が急激に減少し、電機子速度が大幅に上昇して「暴走」事故を引き起こす可能性があるので注意が必要です。そのため、実際の用途では、界磁回路保護装置を設置する必要があります。分巻線励磁モータは、水ポンプ、ファン、コンベアなどの駆動など、負荷変動が小さく、速度安定性が求められる用途に適しています。
3つ目は、直励磁DCモータです。界磁巻線は電機子巻線と直列に接続されているため、界磁電流は電機子電流と等しくなります。このタイプのモータの主磁束は、電機子電流(負荷)に応じて大きく変化します。負荷が増加すると電機子電流が増加し、主磁束が強くなり、速度が急激に低下します。負荷が減少すると、電機子電流が減少し、主磁束が弱まり、速度が大幅に増加します。これが「軽負荷で高速、重負荷で低速」という特性です。同時に、直励磁モータの始動時には、電機子電流が大きく、主磁束が強いため、始動トルクが大きく、重負荷での始動が必要な場面に適しています。ただし、負荷による速度変動が激しく、軽負荷で「暴走」する傾向があるため、速度安定性に対する要求が高い場合、直励磁モータは適していません。主に電気自動車の駆動モーター、クレーンの巻上機構、電動工具など、大きな始動トルクが必要で速度変動を許容する機器に使用されます。
4つ目は、複励磁DCモータです。このタイプのモータは、並列巻線と直列巻線の両方を備えています。主磁束は、2つの巻線の起磁力の重ね合わせによって調整されます。累積複励磁(直列巻線の起磁力が並列巻線の起磁力と同じ方向)と差動複励磁(方向が逆)の2種類に分けられます。その中でも、累積複励磁モータはより広く使用されています。主磁束は主に並列巻線によって決定され(基本的な速度安定性を確保するため)、負荷が増加すると直列巻線が主磁束を強め、電磁トルクを増加させることができます。これは、並列励磁モータ(安定した速度)と直列励磁モータ(大きな始動トルク)の利点を兼ね備えています。負荷による速度変化の範囲は、並列励磁モータと直列励磁モータの中間です。船舶推進システムや大型コンプレッサーの駆動など、負荷が大きく変動し、安定した速度と大きな始動トルクの両方が求められる用途に適しています。差動複励磁モータは、負荷が増加すると主磁束が弱まり、代わりに速度が上昇するため、動作安定性が悪くなるため、実際の用途ではほとんど使用されません。